パスの責任分界点
マネージャー(上司)とスタッフ(部下)は日々のやりとりで、仕事を渡す方と渡される方に分かれます。マネージャーに渡された仕事を、スタッフがやる。この関係はサッカーのパスの出し手と受け手に似ていると思っています。
①事業会社の場合
私が過去に勤めていたような大きな日系企業の場合、パスの出し手(マネージャー)に求められるのは、いかに受け手(スタッフ)が受け取りやすいパスを出すことです。それには、受け手がどういうスキルを持っていて、理解能力がどれほどあるか、ということを出し手が知っている必要があります。受けれないパスを出したり、受け手が感じられないノールックパスを出すことはあまり推奨されず、評価もされにくい文化にあります。
②外資系コンサルの場合
一方で、外資やコンサルといった文化の中では、パスの出し手に求められるのは、純粋にパスの精度です。つまり、そのパスが通った場合に、チームとして有効か、ということです。受け手のことよりも、まず全体としての形勢を逆転するようなキラーパスなのか、ということが重要です。受け手が追いつけない場合は、それは走力が足りないんだから走りこめばいいし、理解できないなら理解できるまで考えればいいのです。
③責任とネクストアクション
パスがうまく通らなかった場合、事業会社もコンサルも会社なので責任はマネージャーが取ることになります。しかし、次のアクションとして、事業会社であれば、「俺のパスが悪かったね、気をつけるよ」となりがちな一方で、コンサルは「取れなかったのが悪い。次はちゃんとやれ」となりがちです。もちろんどの程度のレベルの話をしているかによりますが、全体的な傾向としてはこの通りです。
④エンジョイかガチか
この構図は実際のサッカーやフットサルのチームでもあって、プロの世界ではキラーパスに対して反応できないのは大きなミスですし、草サッカーでいちいち受け手を責めるのは単なる嫌な奴だと思います。そのチームが、つまり会社がどの温度感でやりたいか、にかかっていて、本気でやりたいなら個の力も上げていく必要があるし、キラーパスを出せるタレントを尊重していく必要があります。一番ダサいのは、ガチで世界と戦う、と言いながらディフェンスラインでユルいパス回しをしていることです。